台湾の夜明け

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2014-12-23

台湾独立建国聯盟 日本本部
王 明理

2014年11月29日の統一地方選挙は台湾の歴史に残る一日になった。 今春のひまわり学生運動で、学生たちは「島嶼天光(島々の夜明け)」という歌を台湾語で歌った。

「私たちの夢を守るために、私たちは勇敢に戦う。
夜が明けてだんだん明るくなってきた。
希望の光がこの島のすべての人を照らすまでわれわれは歌い続ける。」

まさにその夜明けを見る思いである。
思えば台湾は長く抑圧された夜のなかにあった。1945年、突如として、台湾人の意志とは無関係に、中国国民党の支配下に置かれ、母語を奪われ、政治の実権を握られ、人権を蹂躙されて来た。台湾の政治を中国人(いわゆる外省人)が思いのままにするという社会であった。

戒厳令による「政党結成禁止」条項を犯して野党民進党が結成されたのは、1986年。戒厳令が解除されたのが、1987年。台湾人、李登輝先生が総統に就かれたのが1988年。李登輝先生は卓越した知恵と手腕で、一党独裁制度を民主的な制度に移行することに成功した。しかし、それでも、台湾社会はまだ国民党の作った仕組みの中にあった。立法院、行政、司法、警察、軍隊、すべてが国民党の利に沿うように働く社会であった。2000年に総統になった陳水扁氏は、敵の中に降り立った落下傘部隊のようなもので、思うような政治ができなかったのも無理はない。
選挙も国民党に有利なように操作され、買収行為も公然と行われてきた。しかし、今回は、国民党の買票が機能しなかった。台湾人の民意が高くなった証拠である。
政治に参加する意義を、台湾人は今、痛切に感じている。
とりもなおさず、それは、かつてないほどの中国の圧力にさらされているからである。国民党に政治を任せたこの6年間で、台湾人の失った権益は莫大である。経済に名を借りた統一工作は止まるところを知らず進んでいる。格差社会問題、低賃金問題、生活不安など表面に見える問題の根幹はここにあり、今回の選挙結果は「中国による台湾統一反対」の意思表示である。

さて、民進党は再来年の総統選挙に向けて、民意をどう汲み取るか。ここに台湾の命運が掛かっている。台湾の大手新聞「自由時報」の掲げたタイトル「人民の勝利、国民党の大敗、民進党への警鐘」はまさに的を射ているだろう。2008年に政権を失って以降、民進党は選挙民の人気を取るために、「台湾独立」路線を封印し、自分たちも中国とはうまくやっていく才覚があることを見せようとして、軸がぶれ、かえって信頼と人気を失った。今回、多数の選挙区で、民進党候補が勝ったのは、「国民党でないから」という理由かもしれない。

台湾の若者たちは、今はっきりと「台湾独立」を願っている。外省人の子孫たちも、もうすでに立派な台湾人意識を持つようになってきている。台湾人として台湾の将来を担っていく気概を持っている。

ひまわり学生運動の直後に、民進党主席に返り咲いた蔡英文主席は賢明で謙虚な人であるから、おそらく、若い人達の意見も取り入れて、良い方向性を打ち出してくれるものと期待している。
中国はどんなゆさぶりを掛けて来るだろうか……。
我々は、油断せず、これからも一層の努力をしていかなければならない。台湾が主権独立国家として国際社会に認められる日をめざして!